以下、野口晴哉『愉気法1』に面白いエピソードが載っている。ご参考に。
質問 禁点に硬結が出ていない時は、絶対に死なないでしょうか。
答え この会で禁点に硬結があると四日で死ぬということを教えていたことがあるのです。
私はそれを、介抱する人の嗜みとしてお教えしたのですが、自分を探った人がいるのです。
一人の人は、「自分は宗教や何か、いろいろなことをやったけれども、常に“死”の不安が離れなかった。
死ぬという不安が全然抜けなくて、絶えず死ぬということが怖くて、そのために絶えず苛立っていた。
ところが、このことを教わって、死ぬときはこれが出るのだなと思ったら、急に気が楽になって、初めて安心した。
宗教でも何でも得られなかった安心が得られた」と言っていましたが、見事な使い方だなと思いました。
見つけた私は、死ぬことにしか観ていないのですから。
もう一人の人は、この間、ハイジャックされた飛行機に乗っていたのだそうですが、飛行機に閉じこめられている時に、
フッと思い出して触ってみると、禁点に硬結がない。それで「俺は生きるな。俺が生きるならこの飛行機は爆破されっこないな」
と思って極めて悠々と本を読んでいたのだそうです。-野口晴哉『愉気法1』p116〜117(全生社)より-